スネヘの遺伝的特徴、分類で使われているmtDNA(COI, CytB)って何? mtdna
🔬 mtDNAとは?
mtDNA(ミトコンドリアDNA)は、細胞内のエネルギー工場である「ミトコンドリア」にある独自のDNAです。要するに、「ミトコンドリア」はエネルギーを作る工場みたいなものです。
核DNAと違い、母親からのみ受け継がれます(母系遺伝)。
変異の速度が比較的一定かつ速いため、種の分化や進化を調べるのに適しています。
🧬 COI遺伝子(Cytochrome c oxidase subunit I)とは?
- 動物DNAバーコーディングで最も使われる遺伝子領域。
- COIは、細胞のエネルギー生成(電子伝達系)に関わる酵素の一部をコード。
- 異なる種間で配列の差がはっきりしているため、種の識別に最適。
✅ 例:チャンナ・バルカと他のチャンナ種をCOIで比較 → 遺伝的にどれほど近いかが分かる。
🧬 CytB遺伝子(Cytochrome b)とは?
- ミトコンドリア電子伝達系のもう一つの重要酵素をコード。
- COIと比べて、種より上の分類群(属・科)レベルの比較に強い。
- 種間の系統関係(進化の樹形図)を描くのに多用されます。
📊 COIとCytBの違いまとめ:
特徴 | COI遺伝子 | CytB遺伝子 |
---|---|---|
用途 | 種の識別(DNAバーコード) | 系統解析(種〜属レベル) |
配列の変化速度 | やや速い | 中程度 |
比較対象 | 近縁種の違いを見分ける。動物の種類を見分けるのにとても便利な遺伝子。 例えば、チャンナ・バルカと他の魚を見分けることができます。 |
属やグループ間の関係を解析。進化の歴史(どの魚がどの魚に近いか)を調べるのに使われます。 親戚関係をたどるイメージです。 |
🧪 なんで使うの?
生き物の見た目だけでは、種類を正しく区別するのがむずかしいことがあります。
そんなとき、このCOIやCytBの遺伝子を調べると、その生き物が何かがはっきりわかります。
これはちょうど「バーコード」みたいなもので、スーパーのレジで商品を読み取るように、生物の“名前”をDNAから読み取るのです。
🐟 たとえば…
たとえばチャンナ・バルカという魚と、そっくりなチャンナ・ブルヘリという魚がいたとします。
どちらがどちらか分からないときに、COIのDNAを調べると、
「このDNAの配列はバルカのものだ!」
とすぐにわかります。
🎓 まとめ(超シンプル)
用語 | わかりやすい意味 |
---|---|
mtDNA | お母さんからもらったミトコンドリアのDNA |
COI | 生き物の種類を調べるDNAバーコード |
CytB | どんな生き物と親戚かを調べるDNA |
📚 参考文献
-
Hebert, P. D. N., et al. (2003). Biological identifications through DNA barcodes. Proceedings of the Royal Society B.
▶ DOIリンク -
Lakra, W. S., et al. (2010). Phylogenetic relationships of Channa species based on mtDNA.
▶ PDFリンク(ResearchGate)